講談社ノベルスの装丁と雑誌ファウストの破壊力

ネコソギラジカル (上) 十三階段鏡姉妹の飛ぶ教室奥様はネットワーカ

亡くなった辰巳四郎の装丁は講談社ノベルスの顔としてイメージを作り上げてきたわけだが弊害もあったように思える.装画の作成にかなりの時間がかかるらしく,それによって発売のペースを換えなければならない.とか,良くも悪くも画一的であり時に表紙買いを妨げたりもしただろう.最近の表紙はいろいろなパターンが出てきている.ポップな表紙が増え,色鮮やかになった.イラストを使った表紙もある.これはいままでの年齢層とかターゲット以外への訴求力にもなっていると思われる.

ファウストvol4この流れと最近の若い作家の台頭から産まれた雑誌にファウストという雑誌がある.この雑誌の面白いところは作家vsイラストレイタという位置づけで「イラストーリィ」というのを打ち出している点もあるが,作品によってフォント(OpenType)・段組どころか紙まで違う.編集にはAdobe InDesignが利用されている.その内容に関しては下記のAdobeIndesignのユーザ事例に詳しい.

本物のDTPを目指した文芸誌「ファウスト」
講談社 2004年10月 本物のDTPを目指した文芸誌「ファウスト」。書籍組版エンジンにInDesignを採用しクオリティの高い出版物を実現(PDF)

いままでデザイン雑誌などではこういう試みは行われてきたのかもしれないがこれを文芸の雑誌で行うという点に注目したい.正直文芸誌なんて誰が買うのかと思うがこの雑誌なら買ってもいいそう思わせる求心力がある.そしてこの試みは次のステージに上がると思う.紙という実体を持つ媒体を意識しているが雑誌の流通を自ら駆逐しかねない危険さを持っている.これからはこれぐらいの破壊力が必要なのかもしれない.