ぼくの眼

いま眼はひらいていない.ぼくにとっての眼はいつもレンズだ.あたらしい土地に移り住んでもその眼は開かれていない.かなり性能の悪い瞳というレンズで見てもなにも発見できない・なにも感じない.内に向いている.閉鎖的な傾向が支配している.でもそれを好ましく思っている.たとえカメラを構えたってその先にはなにも映らない.だからもっと精神を内に向けろ.意識が自分の中に入っていくのがわかるぐらいになったらたぶん自分の内を写すことができるだろう.そしてそこに映った溜まっている澱が確認できたときそれを吐き出すことができるだろう.その時ぼくはあたらしい眼を手に入れるだろう.

瞳から涙が溢れたときでいい.思い出したときでいい.
あなたも眼を閉じてごらん.その先に見えるものだってあるのだから.